70年前、一人の青年が汽車に揺られてこの高原にやってきた
エキゾチックな雰囲気が彼を虜にした
その青年の名は「堀 辰雄」
軽井沢に魅せられ 軽井沢を描き 軽井沢を終生の地とした
「みんな活動写真のようなものだ
道で出会うものは異人さん達と異国語ばっかりだ
心ゆくまで異人さん達の匂いを嗅いでやろう」
堀辰雄を作家に導いたのは、軽井沢で出会った芥川龍之介だった
鉄道は人に運命的な出会いをもたらす
芥川を師と仰ぐ堀辰雄は30歳の時
軽井沢を舞台とした小説「美しい村」を書いた
「ご無沙汰していました。今月始めから僕は当地に滞在しています
一度この高原の村に来てみたいものだと言って思っていましたが
やっと今度その宿望が叶ったわけです
まだ誰も来ていないので、それは寂しいことはそれは寂しいけれど
毎日気持ちの良い朝夕を送っています」
こんなフレーズで始まる小説「美しい村」
堀辰雄と同じようにこの地に魅せられてしまった僕は
今年も碓氷峠へとクルマを走らせた・・・